小林政能著『なんだこりゃ?知って驚く東京「境界線」の謎』(じっぴコンパクト新書)を読む
5月17日(水)
先月の上旬に国境をテーマにしたアート展を見に行ったことをきっかけに、国境に限らず国内に引かれている境界線にも興味が出てきて、検索したらこの本が出てきたので、とりあえず買って読んでみることにした。
この本は東京の区界(区境)を歩くことを趣味にしている人が書いたものである。ご自身でも「境界協会」を主宰しているが、会員は主宰者1人だけの協会らしい。
区界を歩いていくと様々な謎が生じてくる。その謎を解くために、著者は地図を調べ歴史をさかのぼる。すると東京の区界が明治時代から様々に変わってきたことがわかってくる。東京は15区から始まったのだが、その15区の区分けも少しずつ範囲が変わったり、その後20区が加わって35区になったり、戦後は戦災によって22区、そして今の23区へと統合されたりしている。自分の足で歩き、地図の変遷や歴史を調べることで、だんだんと東京を重層的に理解できるようになるところが興味深い。
最初は少しマニアックでとっつきにくい感じがしたが、著者の熱意に導かれて最後まで読むことができた。最終章では区界を歩く時に必要な地図やアプリなども紹介されているから、それらを使って、まずは自分の住んでいる市の市界を歩いてみようかと思っている。
(5月15日読了)
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