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森崎和江、中島岳志(対談)『日本断層論』(NHK出版新書)を読む

11月7日(土)

著者略歴によると、中島岳志は1975年生まれの北海道大学大学院准教授で専攻は近代政治思想史、南アジア地域研究、森崎和江は1927年に現韓国の大邱市に生まれ、今は福岡県宗像市に在住の作家・詩人である。その二人の対談の機会が、2010年8月1日からの三日間、福岡県宗像市の国民宿舎で泊り込みで持たれた。この本はその対談の記録である。

近年、森崎と仕事上のパートナーであった谷川雁が再評価されている。同時に森崎の仕事にも新しい光が当たるようになった。ポストコロニアル批評、サバルタン・スタディーズ、ウーマン・リブなどによって見出された問題群と森崎が先駆的に格闘してきたことが明らかになる。なぜ彼女はそんな独自の道を切り拓いていくことができたのだろうか。

この対談は直接には藤原書店から刊行された『森崎和江コレクション―精神史の旅』を踏まえて実現したように思える。編集協力に藤原書店が入っているからである。 対談にはNHK出版の大場亘と毎日新聞東京本社の鈴木英生も同席しており、対談をまとめたのは鈴木である。また対談内の太字の注釈は、中島と大場、鈴木の3人で分担して書いている。この本は『森崎和江コレクション』の入り口として読むこともできる。

性、植民地、炭鉱。一枚岩のように見える日本に入った亀裂としての幾筋もの断層。そこから覗かれる闇を森崎は避けずに見つめ続けてきた。私は彼女の仕事を『からゆきさん』という海外で娼婦をしていた日本人女性たちからの聞き書きの記録しか知らなかった。この対談を通じて彼女の仕事の全体をなぞってきたことで、もっと具体的に彼女の仕事を知りたくなったのは確かである。

(11月6日読了)

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