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2014.01.25

森見登美彦著『有頂天家族』(幻冬舎文庫)を読む

1月25日(土)

京都に住む狸の家族を中心とした抱腹絶倒の物語。狸のほかに天狗も出てきて人間は脇に置かれている。最初から最後まで荒唐無稽でドタバタした物語なのだが、その背景に京都の街や神社、森があって、物語に独特の世界観を与えている。狸や天狗が人間と共存していても別に不思議ではない気がするのは、物語の舞台が京都だからだろう。

一応あらすじらしきものはあるのだが、読者はそれを知ってから読むよりもこの物語世界に直接入り込んでその豊かさを味わうべきだろう。ただ、京都を知っている人の方がより楽しめるかもしれない。

(1月24日読了)

2014.01.08

宇田亮一著『吉本隆明『心的現象論』の読み方』(文芸社)を読む

1月8日(水)

学生時代に吉本隆明の『心的現象論序説』を読もうとしたことがあった。だが、あまりにも難解で途中で投げ出してしまった。でも何となく用語は頭に残っており、原生的疎外とか純粋疎外、時間化、空間化という用語や時間化度と空間化度の座標軸上をらせん状に伸びていく図などは今でも思い出す。数年前に吉本が『心的現象論本論』という大著を著わした時は、まだ考察は続いていたのかと、その息の長い営みに驚いたものである。

この本は、タイトルの通り、難解な吉本の『心的現象論』の読み方を示したものである。難解な用語をできるだけ噛み砕いて誰にでもわかるように説明してあるし、吉本の『心的現象論』が難解になった要因であるその思想的苦闘の道のりは省いて結論だけ説明してくれるから、論理的にもスッキリとわかりやすくなっている。その上、共同幻想、対幻想、自己幻想などの吉本思想の重要な用語までも、対人関係の3つの層として論の中にうまく組み込まれていて、これ一冊で吉本思想の根本は理解できるのではないかと思えるくらいである。

また、著者は臨床心理士であり、その立場で患者の治療のために『心的現象論』がいかに使えるかも考えている。そのためその理解は実践的である。さらには、社会問題になっている育児の問題、引きこもりの問題、孤独死の問題などまでが、その理解に基づいて論じられていく。

著者の知恵の源泉が吉本の『心的現象論』なのだとしても、一般の人が吉本の心的現象論を理解するにはこの本だけで十分なのではないだろうか。著者は『共同幻想論』についても読み方の本を書いているので、そちらもいずれ読むつもりである。

(1月3日読了)

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