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2013.06.20

小林凜著『ランドセル俳人の五・七・五』(ブックマン社)を読む

6月20日(木)

副題は「いじめられ 行きたし行けぬ 春の雨―11歳、不登校の少年。生きる希望は俳句を詠むこと。」とある。著者の小林凜くんは1kgに満たない未熟児として生れ、喘息や感染症で入退院を繰り返しながらも、小学生になることができた。だが、他の子より体が小さく、動きも不自由なためか、激しいいじめの対象になる。

母親や祖母は命の危険すら感じて学校に申し入れるが、担任を始めとして誰も話を聞いてくれない。それどころかモンスターペアレント扱いされてしまう。1人だけ味方の先生もいたがいじめが収まることはなく、ついに5年生になって「不登校」を選択する。

そんな凜くんの支えになったのは、幼い頃から自然に口に出るようになった俳句を詠むことだった。この本はそうやって詠み続けた俳句の句集であるとともに、母や祖父母の凜くんを守るための闘いの記録にもなっている。

凜くんの俳句は小学3年生の頃から朝日新聞の朝日俳壇でたびたび入選するようになった。正直、わたしには俳句の良し悪しはよくわからない。だが、凜くんの俳句からは、続けて読んでいくと、傷つけられた人間がそれでも負けずに成長を続けようとしている様が伝わってくる。

凜くんの俳句の才能はこれからも伸ばしてほしいものだけれど、同時に、いじめから凜くんを守れない学校っていったい何なのだろうとも思う。いじめをなくすことは難しいかもしれないが、いじめから子どもを守ることはできるのではないか。

大津の中学生の自殺という悲しい犠牲によって、今ようやく学校のいじめから子どもを守る試みが全国に広がり始めた。凜くんが学校に戻ることになったら、もう2度といじめを受けることのない、楽しい学校生活を送ってもらいたいものである。

(6月17日読了)

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