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2013.05.10

山本美香著『戦争を取材する 子どもたちは何を経験したのか』(講談社)を読む

5月10日(金)

著者の山本美香さんは戦争ジャーナリストで、昨年8月20日にシリアで取材中に、政府軍の銃撃を受け死亡した。この本は2011年7月に発行されている。著者の執筆によるものとしては最後の著作である。講談社の「世の中への扉」という小学生むきノンフィクションシリーズの中の1冊であり、小学上級からを対象に平和をテーマに書かれている。

著者はまず自分がなぜ戦争ジャーナリストをしているかを語る。戦争の現場で起こっていることを世界中に伝えることが自分の仕事であること、そのことで少しでも世界が平和になるのではないかと信じてこの仕事をしていると著者は言う。

次に、著者自身が取材してきた地域を素材に、戦争になるとどうなるのか、具体的なできごとを上げながら説明してゆく。レバノン、コソボ、ウガンダ、アルジェリア、アフガニスタン、イラク、チェチェンと取材先は世界各地に及ぶ。地雷で負傷した子どもたちやゲリラにさせられた少年たち、戦争PTSDに苦しむ子どもたち、親と死別し廃墟に暮らす子どもたち、難民キャンプでの生活など、主に、子どもたちの過酷な経験とそれでも生きようとする子どもたちの様子を伝えている。

戦争はいったん始まったら終わらせることが難しい。だからこそ始めてはいけない。どうすれば戦争を起こさないで済むのか、今10代のみんなも考えて欲しいと著者は訴えている。

小学上級から向けの本のためけっして難しい言葉は使っていない。それだけに著者の真摯な気持ちがストレートに伝わってくる。著者の志は生きているわたしたちが引き受けるしかないだろう。

(5月2日読了)

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