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村上春樹著『1Q84 BOOK3<10月‐12月>』(新潮社)を読む

5月9日(木)

この本は2010年4月に発売された時にすぐ買ったのだが、途中で読むのを止めていた。今回、著者の新作が出るということで、読みかけの本を再び読み始め、3年越しでようやく読み終えた。ちなみにこの作品はBOOK3であり、BOOK1とBOOK2は前年にまとめて出版されている。その感想は当時のブログに書いてある。

http://yomisuke.tea-nifty.com/yomisuke/2009/06/1q84-book146-fe.html (BOOK1)
http://yomisuke.tea-nifty.com/yomisuke/2009/07/1q84book279-4c5.html(BOOK2)

BOO1と2は青豆と天吾の章が交互に進行していたのが、BOOK3では牛河という二人の秘密を探る醜い男の章が加えられる。視点が3つになったわけだが、物語が複雑になるわけではない。物語の中でBOOK1と2の主題は背景に退き、BOOK3は天吾と青豆がいつ出会えるか、どうやってこの世界から抜け出すかという1点に収斂していく。BOOK3では作家の視点まで顔を出す。そのことでこの世界の作りモノ感が増してゆく。登場人物がまるでゲームのキャラクターのように感じられてくる。

この長い物語を読み終えた時、読者は、自分が濃密な物語空間の中で過ごせたという充足感を味わうだろう。だが、物語のメッセージは意外なほど単純である。自分がどんな世界に迷い込むことがあろうとも、好きな人と出会って共に生きることが大切なことであるし、それこそが人間にとって確かな生き方であるということである。だが、おそらくこのメッセージはこの物語を作るために必要であっただけで、作者はそういうことは信じていないのだろうなという感じも残る。

(5月1日読了)

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