大地丙太郎著『これが「演出」なのだっ 天才アニメ監督のノウハウ』(講談社アフタヌーン新書)
1月31日(木)
NHKの人気アニメ『おじゃる丸』などの監督である大地丙太郎(だいち・あきたろう)によるアニメの演出論。とは言っても専門的なことはあまり書いていない。アニメ製作の大きな流れを辿りながら、そのコツや心構え、かつての作品で自分はどうしたかなどについて述べている。すでに専門的なアニメ製作に関わり始めた人たちにとってはこれから演出をめざすための道しるべになるし、アニメに興味があるだけのわたしのような素人にとっては、アニメ製作の基本的な流れや演出の知識を得るために役に立つ。
また、この本は大地監督のアニメーターとしての半生記でもある。天才アニメ監督・大地丙太郎がいかに作られたかを知るためにも役立つ一冊だろう。
アニメ演出論と半生記が交差しているせいか、この本は一種の人生論としても読める。著者によると、アニメの演出家に必要なものは「バカが付くくらい好き」、「バランス感覚を持っていること」、「サービス精神」であるそうである。でも、これはどんな職業でもいい仕事をするために必要なことなのだろう。この本からは、君は今そんな仕事をしているのかいと問いかけられているようにも感じる。
(1月28日読了)
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