宮下恵茉著『真夜中のカカシデイズ』(Gakken)を読む
4月1日(日)
友達が作れなくて不登校になった男の子が真夜中に出会ったのは誰?児童文学作家の昨年4月出版の作。わたしはこの作家を知らなかったのだが、旧友がきっかけで興味を持って、どんな作品を書いているのか一つ読んでみることにした。
わたしが児童文学の魅力を再認識したのは、2004年に読んだLouis SacharのThere’s a boy in the girl’s bathroom.でだった。この作品は『トイレまちがえちゃった!』という翻訳も出ている。嫌われものの男の子が転校生と出会い、学校のカウンセラーと話す中で変わっていくという物語だった。主な読者が子供ということもあって読みやすく、それでいてわたし自身の生き難さの問題にも届いており、児童文学っておもしろいと改めて気づくきっかけとなった。
『真夜中のカカシデイズ』の主人公は内気な中1の男の子で、いろいろな出来事が積み重なってついに不登校になる。その子がどうやって立ち直っていくのか。この物語を読み進む中で、子供だけでなく大人も自分の問題と向き合うことになる。自分の気持ちをごまかさないで見つめることの大切さを、友達がいなくてさびしいのならそれを何とかできるのは自分だけであることを、この本は優しくユーモラスに、そしてちょっぴり厳しく教えてくれる。
しかしカカシってよく…いや、これ以上言うのはやめておこう。
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