映画『ALWAYS 三丁目の夕日'64』を観る
2月1日(水)
映画の日の今日、新宿ピカデリ―で『ALWAYS 三丁目の夕日'64』を観てきた。3Dの方を観たため2千円したけど、VFXを駆使した映画なので3Dで観ないわけにはいかなかった。
映像は1964年の東京を見事に再現しており、東京タワーが完成し、東京オリンピックのあった年に、わたしもいつのまにか入りこんでいた。
だが、それは必ずしも過去を懐かしむことだけを意味しない。1964年の登場人物たちは未来を見ており、わたしもその中で未来を見るような気持ちに自然となる。そして、その未来が2012年の現実の日本ではないことに気づく。登場人物たちはあくまでもその時点の延長として未来を見ているので、現実の未来とは見ている方向がちがうのだ。
そしてそれは映画を観終わって、2012年の現実に戻っても感覚として残ることになる。わたしは現実に戻っても、あいかわらず未来を見ていて、それは当然今ではなく、これからの未来である。
そこでわたしは、その未来が1964年に反転されて見えるという不思議な感覚を味わう。1964年は大空襲の廃墟から東京が復興を始めて19年後のことである。1年前、わたしたちは東北沿岸を地震と津波と原発事故で失うという大きな経験をした。つまり1964年はわたしたちの18年後の未来を示しているという感覚なのである。
そういう意味では、最新のVFXを使って過去を忠実に再現したように見えるこの作品は、実はわたしたちのありうべき未来を示しているとも言える。そこにある未来像に、わたしはこれからのこの国の希望が見えるような気がした。
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