Margery Williams著『The VELVETEEN RABBIT』(AVON CAMELOT)を読む
7月25日(月)
1922年に初版が刊行され世界中で愛されてきた絵本のペーパーバック版。絵はWilliam Nicholsonによる初版と同じものである。日本でも『ビロードうさぎ』、『ベルベットうさぎのなみだ』、『ビロードのうさぎ』などのタイトルで翻訳されてきた。副題に「HOW TOYS BECOME REAL」とあるように、ベルベット(ビロード)でできたおもちゃのうさぎが、どのようにして本物のうさぎになったのかという物語である。
おもちゃは、もし愛されなければただのおもちゃのままであるが、ボロボロになるまで愛されることによって、子供にとってのリアルになる。だが、やがておもちゃが子供と別れる日が来る。その時ボロボロのおもちゃはいったいどうなるのだろうか。
この絵本が名作なのは、ファンタジーを描きながらそこにおもちゃのリアリティがあるからだろう。最後に起こることは現実にはありえない奇跡だけれど、そこには作家のおもちゃへの強い愛情が感じられる。つまりおもちゃを誰にとってもリアルにしたのは作家の愛情だったのであり、この絵本を愛する世界中の読者たちだったのである。
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