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Margery Williams著『The VELVETEEN RABBIT』(AVON CAMELOT)を読む

7月25日(月)

1922年に初版が刊行され世界中で愛されてきた絵本のペーパーバック版。絵はWilliam Nicholsonによる初版と同じものである。日本でも『ビロードうさぎ』、『ベルベットうさぎのなみだ』、『ビロードのうさぎ』などのタイトルで翻訳されてきた。副題に「HOW TOYS BECOME REAL」とあるように、ベルベット(ビロード)でできたおもちゃのうさぎが、どのようにして本物のうさぎになったのかという物語である。

おもちゃは、もし愛されなければただのおもちゃのままであるが、ボロボロになるまで愛されることによって、子供にとってのリアルになる。だが、やがておもちゃが子供と別れる日が来る。その時ボロボロのおもちゃはいったいどうなるのだろうか。

この絵本が名作なのは、ファンタジーを描きながらそこにおもちゃのリアリティがあるからだろう。最後に起こることは現実にはありえない奇跡だけれど、そこには作家のおもちゃへの強い愛情が感じられる。つまりおもちゃを誰にとってもリアルにしたのは作家の愛情だったのであり、この絵本を愛する世界中の読者たちだったのである。

The Velveteen Rabbit

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Andrew Clements著『Frindle』(Atheneum)を読む

7月22日(金)

アメリカの小学校に才気渙発な少年がいた。小4までは理解ある担任のおかげで自由に過ごしてきたが、小5になって厳しい女の先生が担任になる。ある日、彼はその先生から言葉の授業を受ける。言葉とは皆がそう使うからそう使われるようになるということを知り、彼は一つの実験を思いつく。penを「frindle」と名付けて皆が使うようになったらどうなるのだろうかと。

一人の少年の思いつきから起こった出来事がやがては全米を巻き込む騒動となる。子供たちはこの騒動を通して、言葉とは何か、言論の自由とは何かを学んでゆく。やがて…。

この本は、アメリカでは1千万部を越えるベストセラーになったという。確かによくできた物語ではある。だが大人が読むには物足りない。あくまでも子供向けの本である。ただ、英語の勉強のために初めてペーパーバックを読んでみようという人は、この本から始めるのもいいかもしれない。

Frindle

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映画『海洋天堂』を観る

7月17日(日)

おとといの金曜日に、シネスイッチ銀座に中国映画『海洋天堂 Ocean Heaven』を見に行った。私はいつもはチケット代が1000円の映画の日でないと映画を観に行かないのだが、今回は、TBSの『王様のブランチ』で、紹介者のリリコが泣きながら紹介していたので、通常の1800円の日に観に行く気になった。年に数百本を観ている人が泣ける映画はそんなにあるものではないだろうと思ったからだ。観客に年配の女性が圧倒的に多かったのは、その日がレディースデイで女性だけチケット代が900円だったこともあるのだろう。

この映画は末期ガンの父親と自閉症の20歳の息子・大福(ターフー)との物語である。自分が死んだ後も息子が少しでも幸せに暮らせるようにと父親は孤軍奮闘するが、最初はなかなかうまく行かない。しかし次第に理解者も見つかり、どうにか息子の生きる道筋が見えてくる。

最後に父親がしたことは、自分がいなくなっても息子が不安にならないようにと考えてのことだった。そこに父親のせいいっぱいの愛情が感じられて泣ける。

主演の父親役のジェット・リーは世界的なアクション・スターとのことだが、ここではその片鱗すら見えない。あくまでも不器用で真面目な優しい父親を演じている。彼の「大福(ターフー)」と息子を呼ぶ声が今も耳に残っている。この映画はこの声を聞くためだけに観に行ってもいいと言えるだろう。

音楽がきれいだなと思っていたら、なんと久石譲だった。この映画は中国が舞台だけど、スタッフは国際的でテーマも普遍的だ。娯楽性には欠けるが、おそらく何らかの映画祭で賞を取れる作品だと思う。

実は今回も予告編の映画の方がおもしろく見えたのだけど、おそらくまた予告編マジックなんだろうな。

海洋天堂

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