武良布枝著『ゲゲゲの女房』(実業の日本社)を読む
9月25日(土)
NHKの朝ドラ『ゲゲゲの女房』の原案となった本。漫画家・水木しげるの奥さんの武良布枝(むら・ぬのえ)さんの自伝であり、同時に水木さんの人生を傍らから見たものにもなっている。久しぶりのおもしろい朝ドラだったので、原案の本も読みたくなった。
はじめ原案と言うからドラマとはだいぶ内容がちがうのかなと思っていたが、本のエピソードのほとんどはうまくドラマに取り入れられていて、読んだ印象もドラマとほとんど変わらなかった。ただ、水木の兄がB級戦犯だったことや、恩給は境港の父母に全額渡していたこと、また水木が武蔵野美大に2年いてその後しばらく兵庫で兄夫婦と暮らしていたことなど、あえて触れられなかったエピソードもある。
また、ドラマはプロダクション設立20周年の時点で終わったが、本の方ではそれから後の勲章の受章や境港の水木ロード設立のいきさつについても書いてある。そのためか、ドラマの最後が「まだまだこれからだぞ」だったのに対して、本の副題は「人生は……終わりよければ、すべてよし!!」となっている。
しかし本の方も「でも、お父ちゃん、終わりはまだまだだよ」と言っているから、案外ドラマと本のメッセージは同じなのかもしれない。
貧乏暮しのどん底の中でもめげずに漫画を描きつづけた水木さん、そんな夫を支え続けた布枝さんに、ドラマからもこの本からも大きな勇気をもらった。ありがとう。だんだん。
(ドラマ最終回の日に)
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