ワクサカソウヘイ著『中学生はコーヒー牛乳でテンション上がる』(情報センター出版局)を読む
6月30日(水)
著者のワクサカソウヘイさんは1983年生まれのコント作家・脚本家である。ある日、著者はある中学校からコントの創作ワークショップの依頼を受け、それを通じてイマドキの中学生と友達になり、Tシャツビリビリーズなる集団を結成する。中学生が面白いことに気づいたからである。
この本では、中学生の何が面白いかをTシャツビリビリーズのメンバーを紹介し、彼らと遊ぶ中で描いてゆく。正直、最初は中学生たちのキャラの誇張表現に若干引いてしまった。いくらなんでもこんな中学生はいないだろうと最初は思った。だが、彼らのキャラになじむにつれて、特に誇張しているとは感じなくなっていったのは不思議だった。たぶんこれがコント表現というものなのだろう。
本の構成は、起承転結の4章でまとまっている。第3章は自分の中学時代の話である。この転の章があって、第4章の結の文章が生きてくる。文章の基本は起承転結と言われるが最近ではそのまんまの本はかえって珍しい。それだけに、起承転結ってのもけっこういいものだなと思えた。
その気になれば半日で読める本なのに、どういうわけか一カ月近くもかかってしまった。その分長く、わたしも中学生と遊んでいる気分になれたのはよかったのかもしれない。
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