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2010.01.30

メアリ・シェリー著 森下弓子訳『フランケンシュタイン』(創元推理文庫)を読む

1月30日(土)

この作品の初版は1818年に出版された。著者はイギリスの女性で当時21歳であった。その頃日本はまだ江戸時代の後期、世界ではフランス革命が1792年に起こり、その反動でナポレオンによりフランスで帝政が敷かれ、ヨーロッパ全土を巻き込んだナポレオン戦争が1812年に起こっていた。これほど有名な怪物が、若い女性によってこんな古い時代に創造されていたことにまず驚いた。

フランケンシュタインというとまず巨大で醜い怪物が頭に浮かぶ。だが正確にはその怪物を作った男の科学者の名前である。何かの映画に出てくるような年老いたマッド・サイエンティストでもなくて、この作品では天才的ではあるがただの大学生である。

作品としては今読むとお粗末な印象を受ける。凝った作りではある。話はイギリス人の冒険家の姉への手紙で始まる。その手紙の中にスイス人のフランケンシュタインが現れ、弟が聞いた話として彼の物語が始まる。その話の途中から怪物の一人語りも始まる。姉(=読者)にとっては、弟の手紙によってフランケンシュタインによる怪物の一人語りを読まされるわけで、すべてが伝聞であり伝聞の伝聞でもあるのだ。

この作品は、小説としてのできはいいとは言えない。それでも、不思議なことに、この作品は後世の批評家にSFの起源とされ、後の有名なSF作家に大きな影響を及ぼし、数多くの劇や映画が作られることになる。その辺りの経緯については巻末の新藤純子氏の解説にくわしい。文庫本の解説は読むだけ無駄なものも多いのだが、この解説は必読である。

この作品のテーマは、アンドロイドを描いた映画『ブレードランナー』(1982年)にまで引き継がれ、そしていま人間は、ついに自らの手で新しい命を作り出せる技術を手に入れた。空想に過ぎなかったフランケンシュタインの苦悩が現実のものになりつつあるのである。昨年の6月22日にこのブログで紹介した『iPS細胞 世紀の発見が医療を変える』(平凡社新書)でもこの作品のテーマが現実のテーマとなったことが示唆されている。そういう意味では、このできの悪い作品の生命の火は、まるであの巨大で醜い怪物のように未だに燃え続けていると言えるだろう。

2010.01.22

高田明典著『難解な本を読む技術』(光文社新書406)を読む

1月22日(金)

著者は1961年生まれのフェリス女学院大学文学部の教授である。この本で初めて知った名前だが、著者略歴によるともっぱら現代思想の解説の分野で本を書いているようである。本書では、難解な現代思想の本をいかに読めば自分の血肉にできるのかという観点で、著者の読書の手の内を明かしてくれている。

著者はまず難解な本を開かれている本と閉じた本、その各々を登山型の本とハイキング型の本に分類し、本の読み方を同化読みと批判読みに分類する。そして本書では主に登山型の本についての同化読みの方法を示すと言っている。

その方法の基本は、本を2度読むということと読書ノートを取るということである。著者は、難解本は最低2度読まなければ読んだことにはならないと言う。最初は読書ノートを取りながら通読していく。そこで論理の流れやわからないところなどを、文字や図解にしながら書き込んでいく。2度目はその読書ノートを傍らに詳細に読んでいく。そこでさらに気づいたことがあれば、ノートの該当部分にさらに書き込んでいく。その過程で起こる様々なわからなさについても具体的に解決の道筋が示されている。

本書ではさらに高度な本の読み方をいくつか示した後で、付録として読書ノートの記入例や代表的な難解本の具体的な読み方ガイドを載せている。ガイドでは超難解な本の読み方が示されており、わたしとしては特にラカンの読み方に感銘を受けた。著者にはどんなに難解な本であっても必ず理解してみせるという強い意志が感じられる。著者は目を通すだけなら年間2千冊の「読書」をしている。目標は5千冊と言うから驚く。そのような読まない「読書」の方法も本書には示されている。

わたしもさっそく以前から読みたいと思っていたわたしなりの難解本をこの方法で読み始めた。立岩真也著『私的所有論』(勁草書房)という本である。今年はせめてこの本だけはきちんと読み込みたいものと思っている。

読み助の本棚

2010.01.18

Twitterを始めました

1月18日(月)

今日からTwitterを始めました。よろしかったらそちらの方ものぞいて見てください。ただし、英作文の練習のつもりで始めましたので、当分は英文が多くなるでしょう。

Twitter yomisuke

2010.01.11

連続ドラマ『ねこタクシー』を見始める

1月11日(月)

1月からの1クールの連続ドラマが各局でそろそろ始まっているが、テレビ神奈川(tvk)でも8日(金)から『ねこタクシー』という変わったテイストのドラマが始まった。まず主演がカンニングの竹山であることが連ドラとしては変わっている。しかも竹山が演じるのはさえない中年のタクシー運転手の役なのだ。

人生に疲れた40歳のタクシー運転手(元教師)が、ある捨てネコと出会うことで人生が変わっていく。いわば中年にとってのファンタジーなのだが、そのぬるさが同じ中年のわたしには妙に心地よい。元気なドラマもいいけど、こういうドラマもあっていいと思う。

ただ、この男はコンプレックスの塊なのに美人の妻(鶴田真由)がいて、しかも妻が教師なので生活には困っていない。思春期の一人娘(山下リオ)には嫌われているが、これもよくある話だ。この男は実生活上は何も困っていないのに、勝手に人生に行き詰っているのである。

本人はこのままではダメだと思っている。でもそこから抜け出す方法はどこにもないように見える。だがその男の前に「御子神」という木の札をぶら下げた三毛猫が現れる。そこから男の中で何かが変わってゆく。

このドラマはテレビ神奈川以外にもいくつかの地方局で放映されるようである。該当する方は、特におすすめというわけではないが、一度は見てみるのもいいかもしれない。昨年放映の『幼獣マメシバ』と同じスタッフでこれは映画化もされたから、このドラマもいずれ映画化されることだろう。

ねこタクシー


2010.01.03

映画『カールじいさんの空飛ぶ家』を観る

1月3日(日)

今年最初ということで、みなさんあけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

元日の午後に『カールじいさんの空飛ぶ家』を新宿ピカデリーに観に行った。この映画はディズニーとピクサーの共同制作のアニメである。普通の映像に加え、デジタル3D映像もある。基本的にTVで大宣伝している映画は観に行かないのだが、この映画だけは前から観たいと思っていた。

わたしは3Dの字幕で観た。3Dだと入場料が300円余計にかかり立体眼鏡の借料が700円するが、元日は映画の日で基本の入場料が1000円だったので、2000円で観ることができた。

3Dで映画を観たのは初めてで、画面が立体的に見えるのが新鮮だった。10分程度の短編アニメから始まり、笑って少し泣けた後で本編に入る。

本編については、すでにTVで散々宣伝しているし、専用のサイトもあるからここで紹介することもないだろう。一つだけ気付いたことを言うなら、このアニメのメッセージが、いきものがかりの『YELL(エール)』のメッセージと同じということであろうか。カールじいさんの夢とこれから巣立つ若者たちの夢は実は同型なのである。参考までに映画のサイトとYELLの合唱を聞けるサイトをリンクしておく。

カールじいさんの空飛ぶ家
Nコン2009 21年度の課題曲中学校の部 YELL

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