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野中広務・辛淑玉(対談)『差別と日本人』(角川oneテーマ21)を読む

11月24日(火)

この本は、元衆議院議員で自民党の実力者だった野中広務氏と在日朝鮮人の辛淑玉(シン・スゴ)氏が、日本における被差別部落や在日朝鮮人への差別について、自身の人生を振り返りながら語り合ったものである。ただ、対談内の解説はすべて辛氏が担当している。

野中氏は京都の被差別部落の出身で、自らも差別と闘いながら、地元の町議から町長、京都府の副知事を経て衆議院議員になった。ただ、同時に議員として、被差別部落の差別故の特権に対してもその排除に努めてきた。差別はいけないが差別にあぐらをかくことも許さない立場である。また、自民党の中では権謀術策に長けた人とも見られており、目的のためには相当汚い手を使ってきたようだ。ただその目的自体は立派なことが多かった。

一方の辛氏は在日朝鮮人として差別と闘い続けてきた人である。一時期はTVメディアにも露出し、積極的に在日の地位向上のための発言を続けてきた。

差別がテーマでしかも当事者たちが語り合うのだから、おもしろくないはずはない。しかも野中氏は自民党の実力者として政界の暗部も見てきている。数々のエピソードには圧倒されるばかりだった。あとがきで野中氏が書いているように、辛氏という巧みな聞き手を得たことで引き出された部分も大きい。

日本人がしてきた差別という視点から歴史を見ると暗い気分にもなるが、そのような暗部が実は今も日常にあるのはまちがいない。例えば2chなどの本音丸出しの匿名の巨大掲示板をのぞいてみると、当たり前のように差別用語が飛び交っている。だからこそこの本のようなテーマが不断に語られる必要がある。

(11月21日読了)

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