山口二郎著『若者のための政治マニュアル』(講談社現代新書)を読む
10月11日(日)
本の帯に「生きづらい社会は政治で変える」とあるように、今生きづらさを抱えて生きている若者に、政治への参加をうながすような内容になっている。著者は、政治学者として、日本を政権交代のある真の民主主義国家にするために、細川政権の頃から積極的に発言を続けている。実践的な学者として苦い思いや挫折も十分経験してきた。どちらかというと反自民の学者である。その上、この本が昨年9月のリーマンショックの頃に書かれたためか、自民党に対してかなり辛辣なことが書かれてある。
ただ、そうした点を除けば、内容は政治学の入門書とも言える。難しい学術用語は使っていないが、これを読めば現在の政治学の基本的な考え方がわかるようになっている。
日々仕事や勉強に追われていると、政治について考えることはあまりないし、そういうことは専門家がやってくれよという気持ちもある。民主主義ってのは実に面倒くさいものである。ただ、そういう社会に生きている以上、自分を守るためにも政治については関心を持ち続ける必要がある。この本は、そういうわたしも含めた、政治の無関心層へのアジテーションの書でもある。
とりあえずは、日曜の朝に観る番組をサンデージャポンじゃなくて、サンデープロジェクトに変えてみようかな。
(10月8日読了)
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