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2009.09.08

ジェラルド・カーティス著『政治と秋刀魚』(日経BP社)を読む

9月8日(火)

日本の政治を研究してきたアメリカの政治学者が、自らの半生と初来日してから40数年間の日本の政治と社会の移り変わりを、エッセイとしてまとめた本。わたしの古い友人がその組織のトップに薦められたとメールで暗に読むように薦めてきたので、読んでみようと思ったのが去年の9月ごろで、ようやく1年経って読むことができた。

さすがに人が薦めるだけあって、中々の良書である。今の日本は、昨年のアメリカ発の金融不況の影響のもと、長年政権を担当してきた自民党が8月30日の衆議院総選挙で惨敗し、民主党に政権交代しようしている激動の時期にある。この本が扱っているのは福田政権までなのだが、それでも今の政治状況を考える上での良質な考えが、この本にはいっぱいつまっている。

日本の社会はここ20年間で大きく変化したのに、政治の仕組みはその変化についていけなかった。著者は日本の良さを十分に認めつつ、やはり政治は変わらなければならないと説く。そしてその意見はこれまでの日本観察に裏付けられており、著者と意見の違う者でさえも耳を傾けざるを得ない。唯一残念なのは、日本を単一民族国家としているところくらいか。

この本はアメリカ人の著者が、自ら日本語で書きおろしたものである。著者は初来日した頃、タクシー運転手に「日本語お上手ですね」と言われたことを記し、今では外国人も増え、そういうことを言うタクシーの運転手もいなくなったと述べているが、さすがにこの本を読んだら日本人の誰もが「日本語お上手ですね」と言いたくなるだろう。それどころか、国語の教科書に載っても不思議でないくらい、平易でしかも味わい深い文章であった。

そういえば今は著者の大好きな秋刀魚の季節である。浴衣を着て、七輪で焼いた秋刀魚を肴にビールを飲んでいる。そんな著者の姿がふと頭に浮かんだ。

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