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2009.06.25

村上春樹著『1Q84 BOOK1〈4月-6月〉』(新潮社)を読む

6月25日(木)

『1Q84』は5月27日にBOOK1と2が出版された。BOOK1を読み終えたので、とりあえずの感想を残しておきたい。

小説は青豆という29歳の女の主人公の物語から始まる。青豆とはこの主人公の本名である。村上の寓話風の小説ではあだ名が多いから、村上を読んできた読者はここで意表を突かれる。しかし青豆なんて本名が本当にあるのだろうか。冒頭から読者は奇妙な宙づり感覚に置かれる。しかもその場所は首都高3号線の渋滞中の個人タクシーの中である。青豆はある事情があって急いでいた。するとタクシー運転手が非常階段を使って降りる方法を教えてくれ実行に移す。

タクシーを降りる時に運転手は不思議な言葉を残している。普通でないことをやると日常の風景がいつもと違って見える。でも見かけにだまされないように。現実は常にひとつであると。

やがて小説には天吾という男の主人公が現れ、青豆と天吾の物語が交互に進むことになる。時代は1984年で天吾も青豆と同じ29歳である。しかし二人の住む1984年では現実の1984年にはない事件が起こっている。青豆は世界が変わったことに気づき、この世界を1Q84 と名付ける。だが天吾には変わったという意識はない。そのうち二人の住む世界にも奇妙な違いがあることが読者には見えてくる。

今のところ楽しく読ませてもらっている。謎の多い物語である。はたしてBOOK2で完結するのかもまだ謎のままである。

(6月23日読了)

2009.06.22

八代嘉美著『iPS細胞 世紀の発見が医療を変える』(平凡社新書)を読む

6月22日(月)

最近ニュースで再生医療とか万能細胞という言葉をよく聞くようになったが、その具体的な中身についてはよくわからなかった。この本では、わかりやすくその辺りの事情が説明されている。関心のある方はまずこの本を読むべきだろう。

現在の医療では臓器が機能不全に陥った時の最終手段は他人からの臓器移植しかないが、再生医療という自分の細胞から臓器を作り出して移植する治療法が、未来の医療として期待されている。そこで注目されているのが俗に言う万能細胞、正式には「人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem cell)」、略して「iPS細胞」である。

iPS細胞は遺伝子の操作によって人工的に作られた万能細胞だが、以前の万能細胞としてはES細胞が注目されていた。ES細胞とは「胚性幹細胞(Embryonic Stem Cell)」の略で、胚すなわち受精卵に由来する幹細胞である。幹細胞とは様々に他の細胞に変化する基になる細胞で自らも増殖する性質を持つ。このES細胞の発見がすべての始まりだった。

だが、ES細胞は受精卵由来ということで、受精卵を操作するという生命倫理上の問題を孕んでいた。iPS細胞は体細胞由来のためその問題をクリアしている。ただ、遺伝子を操作して作った人工細胞であるから、遺伝子を操作することの是非という生命倫理上の問題は未だに残る。

しかし著者は、現役の若手研究者としてあくまでも研究を推進する立場を取る。iPS細胞の研究は生命の謎を解明するための重要な研究なのである。と同時に、再生医療の技術が企業に独占され、高額な医療になることへの危惧も表明している。

iPS細胞と再生医療の研究は、今後の展開次第では社会の在り方を大きく変える可能性もある。著者はその未来の可能性に大きな希望を抱いている。

2009.06.05

ピーター・バラカン著『猿はマンキ お金はマニ』(NHK出版)を読む

6月5日(金)

ピーター・バラカンさんと言えば、日本在住のイギリス人の音楽評論家として有名で、テレビではTBSの「CBSドキュメント」やNHKの「Begin Japanology」の司会でもおなじみである。来日して35年になる。

そんなバラカンさんが書いたこの本は、副題に日本人のための英語発音ルールとあるように、バラカンさんが日頃から気になっている日本人の英語発音を取り上げ、それをイギリス英語の発音のルールに基づいて修正したものである。たとえば日本人はサルをモンキー、お金をマネーと発音するけれど、本当はそれぞれマンキ、マニと言った方が通じるということになる。

日本人が英語を学ぶ際に障害になることの一つが、日本でのデタラメ英語の氾濫である。その中にはイギリスやアメリカにはない和製英語や本場の発音とはまったく異なるカタカナ表記などがある。わたしはNHKの英語講座などで長年英語を勉強してきたが、未だにその影響を克服できていない。

この本は付録をいれても127ページの薄い本だけど、ちゃんとルールを体得するには何回も繰り返して読む必要がある。その助けとして、バラカンさんは親切にもウェブサイトを開設してくれている。そこではこの本に載っている単語の音声を聞くこともできる。わたしも当分このサイトのお世話になりそうである。

猿はマンキ お金はマニ


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