映画『子供の情景』を観る
5月10日(日)
5月4日(月)に岩波ホールで『子供の情景』という映画を観た。この映画は、文化放送の朝のラジオ番組『吉田照美 ソコダイジナトコ』のコメンテーターの一人で、詩人のアーサー・ビナードさんの紹介で知った。
舞台はアフガニスタンで、世界的には大きな崖の仏像がタリバンによって爆破されたことで有名な場所である。その崖の洞窟に住む6歳くらいの少女が主人公である。少女は隣りの男の子が字を読めて物語を語ってくれたのをきっかけに学校に行きたいと思うようになる。そのためにはノートと鉛筆が必要と教わったが、買うためには金がいる。ところが母親は水汲みに行くといって外出したままである。そこで少女は金を稼ぐために冒険の旅に出る。
話自体は子供の世界を描いているのだが、それがアフガニスタンという社会を写す鏡になっている。驚いたのは子供たちが大人からかわいがられていないということだ。大人にも余裕がないのである。子どもたちは甘やかされることがないから、生きるために必死で自己主張をする。主人公の少女も学校に行くという願いをかなえるために必死に行動する。その結果としての小さな冒険の旅なのだ。
特に大きな出来事が起こるわけではない。それでもラストシーンには衝撃を受けた。戦争ごっこから逃れるために少女がなさねばならなかったこと。それはとても悲しいことなのだ。そしてそれは現実にアフガニスタンで大人にも起こっていることなのである。
この映画を撮ったのは現在19歳のイラン人の少女の監督であり、この作品で多くの賞を取った。くわしくは『子供の情景』のサイトにあるので確認してもらいたい。
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