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2009.02.24

茨木のり子著『詩のこころを読む』(岩波ジュニア新書9)を読む

2月24日(火)

詩人の茨木のり子が自分の好きな詩を紹介した本。文章は散文なのだがどこか詩的で一気に読むのがもったいない気がした。そのため読み終えるのに半年近くもかかってしまった。主に戦後の詩が載っているが、戦前の詩も3つ、外国の詩も2つ入っている。目次を見ればわかるように、生まれてから死ぬまでの人生の折々にふさわしい詩が並べられている。

1979年に第1刷が出て2008年には第66冊が発行されていることからも、この本の根強い人気がうかがわれる。普段は詩に触れることのない人でも、この本を読めば詩の魅力に気づくはずである。

1つだけ残念なのはこの本の性格上、茨木さんご自身の詩が載っていないことである。まあこれは茨木さんの詩集を買えば済むことなのだけど。

2009.02.22

Dr Spencer Johnson著『Who Moved My Cheese?』(Vermilion)を読む

2月22日(日)

邦訳の『チーズはどこへ消えた?』もベストセラーになった、世界的なベストセラーの原書。1998年に初版が出て未だに売れ続けている。本書は大きくは3つの場面に分かれる。1つは学校の同窓会での同窓生たちの会話、2つ目は同窓生の一人によって語られる「誰がチーズを動かしたか」という物語、3つ目は物語を聞き終わった同窓生たちによるディスカッションである。

物語には2匹のネズミと2人の小人が登場する。彼らは迷路の中に住んでいる。彼らの食べ物はチーズで、迷路の中を探し回ってチーズを見つけることで生きている。大きいチーズを見つけたのでしばらく安泰に暮らしていたのだが、ある日、気がつくとそのチーズがなくなっていた。

チーズがなくなった後に2匹と2人は各々違った行動をとる。その行動の類型にいろいろと考えさせられるものがある。チーズとは私たちが得たいモノ、維持したいモノの比喩である。しかし私たちはそれを得られるわけでもいつまでも維持できるわけでもない。ではどうすればいいのか。

著者は私たちが変わるしかないと考えているようである。実際、そのとおりなのかもしれない。変わることは怖いことである。でも私たちは変わるために恐怖を乗り越えるしかない。何を変えるべきなのかを著者はチーズを見つけるという単純な話で示している。それゆえに皆が自らのチーズとそのチーズを見つけるための方法を考えることになる。単純だけど、よくできたお話である。英文は平易で高校生でも読めるレベルである。

2009.02.17

烏賀陽弘道著『Jポップとは何か―巨大化する音楽産業―』(岩波新書)を読む

2月17日(火)

Jポップという名称はJ-WAVEという1FM局において1988年に生まれた。その後Jポップは90年代に隆盛を極め、CDのミリオンセラーが続出する。21世紀に入ってCDの売り上げこそ落ちたものの、携帯電話の着うたやインターネットを通じての音楽配信において、未だに大きな売り上げを誇っている。本書では、Jポップがなぜこれほど隆盛しているのかを主に日本の音楽産業や日本社会・文化の分析を通じて描き出そうとしている。

著者は元朝日新聞社の記者で、1992年にコロンビア大学の大学院に留学し、国際安全保障論で修士を取っている。2003年からフリーのジャーナリストに転身した。そんな著者がなぜJポップを取り上げたのだろうか。

この本の種になったのは著者の留学経験である。著者は、留学先ではほとんど聴くことのなかったJポップが、帰国後に国内で隆盛を極めていることに驚く。Jポップの日本での受容のされ方と海外での徹底した無関心との落差をどう捉えたらいいのかを考えるうちに、これは日本の社会や文化のあり方に共通のものであることに気づく。

本書ができたのはそれから約10年後のことである。Jポップを通じての日本社会・文化論は他に類書がなかったこともあり、著者は悪戦苦闘して書き上げたようである。そのためか、ややスマートさに欠け、力技の部分があることは否定できない。でも、こういう本こそが真に独創的な本なのだ。

個人的には、Jポップの受容のされ方が、欧米と肩を並べたいという日本人の願望に支えられているという分析がツボだった。ヨーロッパで活躍するサッカー選手、アメリカで活躍するメジャーリーガー、フィギュアスケートの浅田真央、ゴルフの石川遼の人気を支えるものもこうした願望なのであろう。Jポップに関しては、あの宇多田ヒカルでさえアメリカ進出に失敗したように、単なるファンタジー基づく人気に過ぎないのだけれど。

2009.02.10

山本一巳・山形辰史編『国際協力の現場から 開発にたずさわる若き専門家たち』(岩波ジュニア新書)を読む

2月10日(火)

今、地球上の特に開発途上国と呼ばれる国々では、貧困や感染症、紛争などさまざまな問題が生じている。この本は、そうした問題に取り組む若き専門家たちが自らの取り組みについて執筆したものをまとめたものである。執筆者のほとんどは、1990年にアジア経済研究所(現日本貿易振興機構アジア経済研究所)が設立したアジア経済研究所開発スクール(略称イデアス)の卒業生である。

読んで驚いたのは、高校生向けの本のためもあるのか、どの著者も実にわかりやすく自らの仕事を説明していることである。国際開発の分野ではこういう優秀な人たちが困難な課題に果敢に取り組んでいるのかと改めて思い知ることになった。実は、わたしもいずれはこういう仕事ができればと思っていたのだが、わたしでは知力・体力ともに能力不足のようである。ちなみに執筆者の多くは女性の専門家である。

ただ、いくら優秀でもこれほど困難な課題の解決は容易ではない。本書が岩波ジュニア新書であるのは、本書を読んで、多くの若くて優秀な人が引き続いて国際開発の専門家になることへの希望が込められているからであろう。たとえ専門家にならなくても、多くの若い人たちにこういう仕事への理解を深めてもらいたいものである。

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