Dr Spencer Johnson著『Who Moved My Cheese?』(Vermilion)を読む
2月22日(日)
邦訳の『チーズはどこへ消えた?』もベストセラーになった、世界的なベストセラーの原書。1998年に初版が出て未だに売れ続けている。本書は大きくは3つの場面に分かれる。1つは学校の同窓会での同窓生たちの会話、2つ目は同窓生の一人によって語られる「誰がチーズを動かしたか」という物語、3つ目は物語を聞き終わった同窓生たちによるディスカッションである。
物語には2匹のネズミと2人の小人が登場する。彼らは迷路の中に住んでいる。彼らの食べ物はチーズで、迷路の中を探し回ってチーズを見つけることで生きている。大きいチーズを見つけたのでしばらく安泰に暮らしていたのだが、ある日、気がつくとそのチーズがなくなっていた。
チーズがなくなった後に2匹と2人は各々違った行動をとる。その行動の類型にいろいろと考えさせられるものがある。チーズとは私たちが得たいモノ、維持したいモノの比喩である。しかし私たちはそれを得られるわけでもいつまでも維持できるわけでもない。ではどうすればいいのか。
著者は私たちが変わるしかないと考えているようである。実際、そのとおりなのかもしれない。変わることは怖いことである。でも私たちは変わるために恐怖を乗り越えるしかない。何を変えるべきなのかを著者はチーズを見つけるという単純な話で示している。それゆえに皆が自らのチーズとそのチーズを見つけるための方法を考えることになる。単純だけど、よくできたお話である。英文は平易で高校生でも読めるレベルである。
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