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大村敦志著『父と娘の 法入門』(岩波ジュニア新書)を読む

12月31日(水)

本書は民法学者の著者が法について考える時のその考え方の勘所を、自分の娘と対話する形式で語ったものである。具体的な法律についての話ではなく、そもそも法とはいったい何なのかという基本的なところの話で、著者はそれを法学教育ではなく法教育と言っている。つまりこの本は法教育の本なのだ。面白いのは、それが人間と動物との関係の中で語られていることである。

人間にとって動物とはペットであったり家畜であったり、狩りの対象であったりする。最近では、補助犬のように人を助ける動物も出てきた。本書ではそうした関係を法はどのようにルール化しているかが語られる。その中で、法とは社会を支えるためにあること、その法も常識によって作られること、反対に法が社会の常識を変えることもあることなどが説明される。

法律や契約の条文はどこかお固くて近づきがたいけど、こうやって本書を読んでみると、やはり社会の複雑な出来事をルール化するためには、ある程度抽象的でまわりくどい表現になるのも仕方ないのかなという気になる。でも、書かれていることは社会の常識に基づいたものだから、よく読めば理解できるはずなのだ。

日本でも来年5月から裁判員制度が始まる。巷には法律の知識を持たない一般人が裁判員なんて務まるのかという不安があるようだ。しかし社会人と法の専門家が話し合うことは、まさに常識と法とを擦り合わせることであり、それこそが本来の裁判のあり方なのだ。わたしたち一般人はただ自分の常識を語ればいいだけのことだ。

ただ、実際に裁判員として参加する前に、法教育の講習なりあった方がいいかもしれない。その方がよけいな心配をしなくてすむからである。本書はその際のいい参考書になるはずである。


今年わたしのブログを読んでくださったみなさん。ありがとうございました。よいお年を。

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