梶原しげる著『すべらない敬語』(新潮新書)を読む
11月8日(土)
フリーの有名アナウンサーが、巷の様々な敬語の使われ方を分析し、概ね妥当な敬語の使い方について考察した本。国の出した画期的な「敬語の指針」の解説、日本語と英語と韓国語とでの敬語の使われ方のちがい、名人アナウンサー3人の敬語の使い方、マニュアル敬語の問題点、有名政治家たちの敬語の使い方、放送業界の敬語、「お疲れ様」と「ご苦労様」の問題など、気になる様々な敬語の使われ方を俎上にのせている。
知らなかったのは、今世紀に入って、国の文化審議会で「敬語の指針」が2度も出されていることである。最新の「敬語の指針」の詳細は文化庁のウェブサイトにも載っている。なんと敬語の分類の仕方が、尊敬語、謙譲語1、謙譲語2(丁重語)、丁寧語、美化語と変わっている。よけいなことをという気にもなるが、最近の「明日弟のところへ参る予定です」(謙譲語2)やお受験(美化語)などのように、これまでの分類では対応できない敬語表現に対応するものとして納得はできる。
敬語にはプラス面だけでなく、変に使うと人間関係を損なうこともある。いずれにしても敬語のプラス面とマイナス面をこういう本で学んだ上で、実際の人間関係の中で使っていきながら妥当な使い方を探っていくしかない。敬語の使い方は最終的には自己責任と国の指針でも述べられているところが印象に残った。
(11月6日読了)
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