山田肖子編著『アフリカのいまを知ろう』(岩波ジュニア新書)を読む
9月21日(日)
最近の日本のアフリカ研究をまとめたもの。著者も若手のアフリカ研究者である。アフリカ研究といえば霊長類や人類学の研究が有名だが、ここでは社会・人文科学の分野に限定している。高名な先生からではなく、比較的若手で実績を上げている研究者からのインタビューをまとめている。
第Ⅰ章は著者自身によるアフリカのいまの概要で次章の要約にもなっている。第Ⅱ章が11人の研究者へのインタビューになっている。文系の研究に限定しているとは言え、内容は多岐に渡る。日本とアフリカとの交流史、アフリカの経済、農業、経済援助、紛争史、エイズ対策、公衆衛生、ジェンダー、手話、音楽、文学などの諸研究がインタビューを通して紹介されている。また巻末には、より深く知るためのブックリストもある。
すべての研究者に共通するのは、日本人のアフリカ理解が一面的であるとの指摘である。そしてアフリカといえば援助であるが、援助のあり方の問題点を指摘する人も多かった。今後の日本のアフリカへの援助は、こうした若手研究者の多面的な研究を踏まえて行われるべきなのであろう。
おわりに、にはこの本の元になったウェブサイトも紹介されている。より詳しい内容はそのサイトで確認できる。
(9月19日読了)
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