寺田昌嗣著『フォーカス・リーディング』(PHP)を読む
9月24日(水)
本書の副題は、1冊10分のスピードで、10倍の成果を出すいいとこどり読書術、である。基本は速読法を伝えるもので、この本で練習を積めば、新書程度なら1冊10分で読むことができるようになるそうだ。ただ著者は、速読はあくまでも手段に過ぎず、本当に大切なのは、読むべき本を選択して、目的意識を持って読むことだと言う。1冊10分で読んだらその本を3回は読み直すべきとも言っている。
この本では、右脳の活用とか潜在意識というような用語は使っていないが、その内容は似たようなものだ。要はビジネスマンの自己啓発書の一つである。その例にもれず、内容は薄い。それでもわたしがこの本を買ったのは、やはり読みたい本が貯まる一方で悩んでいたからである。速読法によって10分で1冊読めるようになれれば悩みの大半は解消されると思っていた。
しかしこの本を読んで、大切なのは多読や速読ではなくて、読むべき本を絞ることだと思うようになった。読みたい本は多いが、それは書評等にまかせて読んだ気になっていればいい。わたし個人にとって大切な本はもっと限られてくるはずである。そのことに気づかせてくれただけでも、この本に感謝したい。速読の練習は、さてどうしようか。
(9月20日読了)
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