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2008.04.13

小泉義之著『生殖の哲学 シリーズ・道徳の系譜』(河出書房新社)を読む

4月13日(日)

わたしたちは、生-権力に支配された世界に生きている。生-権力とは人間の生のあらゆる局面を支配しようとする力であり、性や生殖や養育におけるわたしたちの選択も支配する力を持つ。それは人間が社会を作って生きている以上必ず生じる力であって、それを排除する手段は現実にはない。

しかし著者はそれをSF的な想像力によって排除してみせる。そして生-権力に支配されない未来像を描いていく。そこでは、今話題のクローン技術も万能細胞の技術も万人に解放されている。人は動物と結びついて改造人間にもなるし、女は男を介さないで単為生殖で自分のクローンを生み出す。そういう技術では必ず障害者が生まれる。だから著者は障害者の誕生を徹底的に肯定する。路上を障害者が歩き回る社会を豊かな社会と価値付ける。

とんでもないことを想像する人だと、わたしは恐怖感さえ覚える。だが、こういう社会もあっていいのかなともどこかで思う。20世紀後半の発生生物学の発展が新しい生物を作り出す段階に来ており、それがかつてないほどの革命の可能性を秘めていることは理解できる。

現実には生-権力の働きによってそうした技術は強く制御されていくだろうから、このような未来は考えにくいけど、今までは考えも及ばなかった可能性が開かれたことは確かだろう。もうポスト・モダンどころではない。

(4月13日読了)

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