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2008.03.05

高橋哲哉著『歴史/修正主義』(岩波書店)を読む

3月5日(水)

90年代になって歴史修正主義という言葉がネガティブな意味で使われるようになった。ドイツでのホロコーストはなかったと主張する勢力や日本での「自虐史観」批判の勢力を歴史修正主義者と呼ぶようになってからだ。本書は、哲学者の高橋が歴史とは何かという問題について歴史修正主義を意識しながら論じたものである。

高橋は論点を大きく3つに分ける。歴史と責任、歴史と物語、歴史と判断とにである。でもそのすべての中心にあるのは歴史の価値判断の問題である。歴史は正義によって判断されなければならない。正義とは現時点でのもっとも確からしい正しさである。この正義は後に変更される可能性へと開かれている。しかし現在のところは現在のこの正義によって歴史が判断されなければならないとする。そして具体的には現在の正義は国際法廷によって実現される。

国際法廷で戦争犯罪への判決が下される。それが現在の人類が示しうる最高の判断である。国家は原理的にはこの判決に従う義務を負う。もちろん国内の裁判と同じようにあらゆる犯罪には再審への道が開かれている。国際法廷もまた開かれた正義なのである。そして自国の歴史であってもこの正義に矛盾する物語であってはならない。

高橋の主張には総論としては賛成できる。ただ、従軍慰安婦問題については、高橋は事実が確定したかのように論じているが、小林よしのりがマンガで明確に示したように、実際には軍が強制に関与した証拠は上がっていない。よって国際法廷で下された諸判決に関しては、日本は再審を請求し続けるしかない。また、この本の初版が2001年の1月で、NYのWTCテロより前のせいか、やや古い印象を受ける。国際法廷?何それ?という感じなのだ。あたかもあのテロによってわたしたちの生きる世界が変わってしまったかのような違和感がある。当時の正義が早くも色あせている。まるで正義にも賞味期限があるかのようである。

(2007年3月17日読了)

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コメント

追記
 高橋氏が、以下のことをその著書で論じて無いことは、「現在の(歴史的な)正義は国際法廷によって実現される。」と主張されているようなので、こう推測しました。

 人間/人類とは如何なる存在か?
 人間/人類には存在理由や存在目的があるのか?
               一般法則論者

「高橋哲哉著『歴史/修正主義』(岩波書店)を読む

 高橋は論点を大きく3つに分ける。歴史と責任、歴史と物語、歴史と判断とにである。でもそのすべての中心にあるのは歴史の価値判断の問題である。歴史は正義によって判断されなければならない。正義とは現時点でのもっとも確からしい正しさである。この正義は後に変更される可能性へと開かれている。しかし現在のところは現在のこの正義によって歴史が判断されなければならないとする。そして具体的には現在の正義は国際法廷によって実現される。」

 この本とその論点のご紹介有り難く頂きます。

 人間の歴史=人類史。反対は、自然史。
 何が正しい人類史であるかのは何できまるか?
 これに自動的かつ必然的に伴って、各人の歴史に対する責任も決まります。
これは、以下の二つのことを、一義的に/一意的に明確に確定的にかつ客観的に説明してから初めて論じることが出来るものでしょう。
人間/人類とは如何なる存在か?
人間/人類には存在理由や存在目的があるのか?

 これをしないで、「現在の正義は国際法廷によって実現される。」などとどうして言えるのでしょうか・・・。
 ちなみに、現在の自然科学を前提にしている生物学の常識は、人間には何の存在理由も存在目的もないことになっています。
 こうだとすると、自動的かつ必然的に人類史にも正義など無いことになります。
 では、生物学の見解は正しいのか?

 この答えは、次のブログ。

 いわゆる神の存在証明がもたらす意味について
 天然自然の存在の創造主である神の存在証明をして、神が造ったこの世界の成り立ちと仕組みについて説明し、人類史のリセットと再構築を試みる。
 http://blog.goo.ne.jp/i-will-get-you/
     一般法則論者  


 

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