鶴見俊輔・上野千鶴子・小熊英二(座談)『戦争が遺したもの 鶴見俊輔に戦後世代が聞く』(新曜社)を読む
3月10日(月)
老思想家・鶴見俊輔にフェミニストの上野千鶴子と社会学者の小熊英二が戦中戦後の話を聞いた本。わたしも鶴見俊輔の著作や座談集を何冊か読んでいるし、上野千鶴子や本の中で語られる吉本隆明や小田実の著作にも若い頃親しんだので、自分の断片的な知識が整理されていく知的快感とともに読み進めることができた。
小熊英二の代表作に『<民主>と<愛国>』という大作があるのは前から知っていたけど、残念ながらまだ読んでいない。でもこの本を読み終えてわたしにとって必読の書と確信した。というのも、上野が言うには、戦後の思想史を戦後思想家の戦争体験から照射しているらしいからだ。そしてこの本も鶴見俊輔という戦後思想家をその戦争体験から照射したものである。だからこれは小熊にとっては『<民主>と<愛国>』を補足するものでもあるのだろう。
座談の雰囲気もよく伝わる編集でまるで自分も傍らで聞いているような感覚を味わうことができた。このような知的な座談に読者として「参加」させてもらったことに感謝したい。
(2007年3月10日読了)
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