J.D.SALINGER著『THE CATCHER IN THE RYE 』(LITTLE BROWN BOOKS)を読む
2月11日(月)
日本では野崎孝訳の『ライ麦畑でつかまえて』で有名な小説の原典。最近では村上春樹訳の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』も出ている(いずれも白水社)。1950年代のアメリカ東部のハイソな男子高校生が主人公。高校を退学になって、それが親にばれるまでの数日間を、彼は自宅のあるニューヨーク市の街中を彷徨して過ごす。その体験を、後に入院中の精神病院?から主人公が回想するという形式の小説である。
主人公の繊細な感性と不安定な自我がうかがえる文体と実際の自己破壊的な行動。それは彼の魂の彷徨であると同時に、ニューヨークに代表される当時のアメリカ文化への批評にもなっている。ライ麦畑のキャッチャーになりたいという彼の夢はかなうときが来るのだろうか。野崎訳は読んだことがあるけれど、今回英語で読んでみて改めて2つの翻訳を読んでみたくなった。
(2007年6月8日読了)
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