柳原和子著『がん患者学Ⅰ 長期生存患者たちに学ぶ』(中公文庫)を読む
1月20日(日)
著者の柳原さんは、自らがんと告げられて絶望の中、試行錯誤しながら闘病を続けていた。現代医学でも決定的な治療法のないがんという病の中で、多くの患者が病院や医者に対して強い憤りを抱いたまま死んでゆく。やすらかに死ぬためにはどうしたらいいのか、あわよくば生き延びるためにはどんな方法があるのか。著者は、まずは5年、10年と長期生存を果たしている人から話を聞こうと考える。
この本では18人の長期生存患者から話を聞いている。生き方は様々である。代替医療に活路を見出した人、食生活を見直した人、生活をすべて変えた人、反対に何もしていない人。でも、それぞれの人は、自分で選択して今の生を生きているという点で共通している。
わたしたちががんを告げられたときどうすればいいかというマニュアルはない。様々な情報を集めて、医者の意見も聞きながら、主体的に治療法や生活を選択すること、それこそが、がんを患う者の唯一の選択なのである。
この『がん患者学Ⅰ』は3分冊の1冊目である。Ⅱには専門家との対話・闘病の記録、Ⅲにはがん生還者たち―病から生まれ出づるもの、という副題がついている。また著者の最近の本に『百万回の永訣 がん再発日記』がある。引き続き読んで行きたい。
(1月20日読了)
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