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2008.01.14

永井均著『西田幾多郎 <絶対無>とは何か シリーズ・哲学のエッセンス』(NHK出版)を読む

1月14日(月)

「シリーズ・哲学のエッセンス」の一冊。著名な哲学者の哲学を100ページくらいの量でわかりやすく解説しているシリーズである。しかし西田幾多郎というのは哲学者の中でも難解を極める哲学者だ。どうなるものかと思ったが、意外とわかりやすくまとめられていた。でも、日本語としてはわかりやすくても哲学としては易しくはない。この本は単なる解説書ではなく、その中で、実際に哲学がなされている。読者は集中して著者の記述を読み進み、その背後の問題意識を感じ取らなくてはならない。

この本では西田の思想のエッセンスを純粋経験、場所、私と汝の3つの観点から記述している。そこに通底しているのは、経験において、私は主体ではなく限定された場所であるという観点である。私と汝が理解し合えるのはなぜか。それは私という場所に汝という場所が入り込みさらにそれを包摂する場所が生じるからである。さらにその汝の中に私が入り込むことによってこの相互理解のプロセスは完成する。私が主体化されるのは、まさにその汝の中においてであり、そこにおいて言語もまた生まれるのである。

本当はこんな風に乱暴に要約したらこの本のよさは失われる。あくまでもこの本の記述に沿って著者の哲学する過程をじっくり味わうべきである。

(1月14日読了)

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